松浦遊さんと光希さんは、高校生のころから付き合っていましたが、30歳になり結婚して夫婦生活を始めてみました。 遊さんは建築士で公共施設の設計をすることにやりがいを感じているため、コンペに応募するための設計もするため忙しくしています。 他方、光希さんは、出版社で編集者をしていますが、現在は料理本を担当しているため、定時に帰宅しています。 結婚生活のため同居を始めましたが、それぞれ言い分があるようです。 遊さんの言い分 ・ご飯がおいしくない ・料理の味が全体的に濃すぎる ・掃除を3日に1度しかしていない 光希さんの言い分 ・遊は仕事ばかりでほとんど自宅にいない ・掃除はしない ・同僚の三輪パートナーと一緒に打合せを兼ねて飲みに行ってしまう 光希さんは,二人で計画していたバルセロナ旅行を仕事でキャンセルした遊さんに怒り,友人の茗子さんと彼女の愛息の碧さんと一緒にバルセロナ旅行に出発。 これが遊さんの怒りも買ってしまったようです。 性格の不一致を理由とする離婚は、大きな価値観の違い等を理由とするもので、どちらかというと離婚について相手方の同意がある場合の使いやすい離婚理由として「性格の不一致」が挙げられています。ですから、裁判での離婚事由としては度を超した宗教活動などでないと離婚は難しいと思います。 同棲・同居を始めると、一つ一つの小さな積み重ねが大きなストレスを生みます。例えば遊さんは、自分の部屋周りは掃除をしているようですが、光希さんにはリビングの窓にホコリがあるよ、といってきたります。しかし、光希さんは、台所回りが優先のため、あまりリビングなどを隅々まで綺麗にしておくという価値観はないようです。こうしたように、日本人同士の結婚であっても、外国人と結婚したような気持ちになり、妥協をしたりする必要があるといえます。 ★本当に性格の不一致なのか 多くの離婚相談を受けていると、性格の不一致というより配偶者からの暴言や暴力を受けていたということもあります。また、専業主婦の方の場合、夫から常にダメだしをされてしまうとだんだん自己評価が低下してきてしまい、自分の至らなさに思い悩むというケースも少なくありません。そういう場合は、夫婦の間で、家父長制ではありませんがパワーバランスが崩れているといえますので、心理学的な認知・認識が公平でなくなっている場合もあります。離婚相談の弁護士に相談し、第三者の意見を聴いてみるのも一つです。 性格の不一致を理由に離婚裁判をしても認められません。そこで、別居期間が婚姻破綻の要素となっていますから、別居から始めてみるというのがこの場合良いといえます。 仮に、離婚裁判で離婚を認めないという判決が出た場合でも、その後話し合いを行い、やはり修復することができないということで、相手に有利な条件で離婚に応じてもらえるということがあります。 一般的に人間というのは、そんなに変わるものではありません。ですから、結婚を機会に性格がかわったり、出産を機会に性格がかわったりするということは、あまり多くありません。 ですから、結婚したら変わってくれるのではないでしょうかという期待を抱いていた部分があるかもしれません。これは出産も同じといえるかもしれません。 そうすると、交際段階では、一方がいろいろなことを我慢したり、負担を肩代わりしてきた部分といえます。ですから、交際段階でやってくださらないことは、結婚後もやってくれないと考えておいた方が良いかもしれません。また、年齢を重ねるにつれて、価値観が変わったり、相手方に求めるニーズが違うというケースがあります。この場合、価値観の齟齬が30代から40代程度から目立ち始めるといえるかもしれません。多くは、お子さんの出産や社会人の役職などへの就任などで求めることが違ってくるということが大きいようです。 結論からいうと性格の不一致のみでは離婚は難しいと思います。しかし、相手方の同意が得られれば離婚はできるのですからあきらめないことが重要のようにも思われます。