甥っ子に紡ぐコラム―心の中の願望

 心の中にある願望を明らかにすると、自分がなりたいと思っている自分とは自分がそこに現れてしまっているよね。シュシュはエンジニアになりたいんだっけ。幸せならそれでいいと思っているのに、本当は、幸せよりお金や名誉が欲しいと思っている自分がいたりする。

 

 ひとりは気楽でいいと強がっていたのに、本当は寂しいと思っている自分がいた。君はフランス語で一番をとって誰よりも優秀とおもっているかもしれないけど、リーダーとしての能力に自信が持てなくて、小学生のころの友人たちとよく遊んでいるよな。あせっているのかもしれない。君が自分の願望を閉じ込めているのは、そんな自分と向き合うことを恐れているのかもしれない。

 

 たしかに、目の前を流れる川は、セーヌのように美しいものばかりではないし、セーヌも洪水を起こすと美しいとはいえないかもしれない。そこに破れた夢の欠片が流れていることもある。

 

 でもシュシュなら大丈夫。だれだって、心の中には、「良いところ」と「悪いところ」があるだろ?自分を知ろうとするときは、まず、ありのままの自分を受け入れることが大切。それから、そんな自分を許してあげることさ。僕は人と会うとき、「もう自分を許してあげてもいいんじゃない?」というときが結構ある。「悪いところ」は、たいていの場合、「よいところ」の「行き過ぎ」なんだ。だから、「悪いところ」を少し抑えてやることで、それは「よいところ」におさまってくる、バランスがとれるようになるんだよ。

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