ダイアン・ロックハートとトランプの戦い

ダイアン・ロックハートとトランプの戦い

 

日本でリメイクされたアメリカCBSドラマ「Good Wife」のスピンオフ・

Good Fight」は、現在、CBSアクセスで第3シーズンまで公開されています。

 

グッドワイフの主役・アリシアではなく、経営者弁護士だったダイアンが主役になるというドラマです。

 

 もともと政権批判のために作られたような面もあることから、トランプ氏に対するウィットな批判も出てきます。しかし、アリシアと違って、ダイアンは「信念の人」なので極端な双方の立場から批判を受けてしまうというところがあります。

 

 ヒラリー・クリントンが落選した理由に、ポリティカル・コレクトネスの追求が行き過ぎたという点が挙げられています。これは日本でもいえることですが、政治的あるいは道徳的な立場から結論が決められていてそれに反する行いは無教養と非難される、そういう事項が民主党政権下で多くなり過ぎて、アメリカ国民は本音での議論を求めるようになったのではないか、というところがあります。

 例えばダイアンは中絶肯定派ですが、修正第1条の表現の自由を最も守らなければならない価値と考えています。このためダイアンは中絶否定派の言論が否定されたときに、フリースピーチに対する制約を容認できず中絶否定派の事前抑制の仮処分の弁護を引き受けます。このことでダイアンは、自身に近いリベラルな人たちから批判されるようになります。

 しかし、いくら同性愛の結婚を容認する最高裁判決が出ても、同性愛を理解することができない人たちはいます。彼らとの実質的な討議を避けて、ポリティカルコレクトネスとして、議論を終わったことにして、結果、表現の自由が委縮したり陳腐化したりしている人たちがトランプに投票したという分析がなされていることは重く受け止めるべきでしょう。こうして、使用できる言葉も定型文や常套句ばかりになるという指摘がされます。そういう意味でヒラリーとダイアンは根本的に異なるのだ、と思います。

 ただ、トランプ政権下ではデモ行進自体でも、暴力扇動とされかねない法運用やトランプ反対派の保釈を認めないようにしようという試みもまた正しくありません。ダイアン・ロックハートはフェミニストでありながら、過激なMe Too#とも訴訟で争います。

以下は、デモ行進をした人の保釈審問でのトランプ派の判事とのやりとりです。

ダイアン:I am Diane Lockhart, representing Tully Nelson.

(トニーネルソンの弁護人のダイアンロックハートです。)

裁判官:Wh And what are the accusations?

(そして、非難する内容は何ですか?)

ティモンズ検事:The charges, Your Honor? Mr.Tully’s charged with incitement to riot and resisting arrest.

(被疑事実です。裁判官。タリー容疑者の被疑事実は暴動の扇動と公務執行妨害です。)

ダイアン:Application for release on the defendant’s own recognizance.

(被告自身の自己誓約に基づく釈放を求めます。)

ティモンズ:Government opposes.

(検事局は反対します。)

裁判官:I’m gonna need a moment to think on that.

Um ponder it, you know.

Conjugate.

(判断には時間が必要です。熟考します。多角的に検討が必要です。)

ダイアン:Your Honor,bail is customarily set, even in Class A felonies.

(裁判官、保釈はクラスAの重罪にも慣習的に適用されます。)

裁判官:well in my court, we do not follow, you know customary things.

(私の法廷では、慣習には従いません。)

ダイアン:The court should know that we will be filing an interlocutory appeal on this ruling And that’s not a good thing Unless bail is granted.

(私たちが決定に抗告するのはご存知ですよね。保釈が認められないことは良くないことです。)

ティモンズ:Your Honor, the government supports detention because the defendant is a flight risk.The crime involved – destruction of property.At a post office.

(裁判官、検事局は逃亡のおそれがあること、関連事件として郵便局での破壊行為の犯罪があり勾留を支持します。)

ダイアン:Without bail, Your Honor, we will be asking you to honor the Daubert standard.Whether it’s res judicata or stare decisis, there is no basis for imposing some Draconian policy with regard to bail nunc pro tunc.

(保釈がないのであれば、裁判官、ドーバーズ基準の尊重をしてください。最高裁によれば、既判力による裁判があったとしても厳罰を貫く根拠にはなりません。)

ティモンズ:Your Honor, the defense is now just making up words.

(裁判官、弁護人はデタラメを述べています。)

ダイアン:Excuse me.You insult His Honor.I think he knows the difference between a legal standard and a lawyerly trick.
(あなた、裁判官を侮辱なさるの?トランプ派の判事でも最高裁の法的基準と検事補のトリックの違いを十分ご存知よ。)

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