面会交流審判で勝訴しました。

本件では、面会交流を制限すべき事情変更があるか否かが問題となりました。 裁判所の多くは、こどもの福祉に即するように、面会交流は子の人格的成長に資するものであり、その情緒を不安定にさせるなどの特段の事情のない限り実施すべきとの見解をとっています。しかし、事情変更の原則を適用するか否かについては争いがあります。 当該裁判例は、「前件審判を変更すべき事情の変更があるといえるか否かが問題となる」と指摘しており事情変更の原則があることを示しています。しかし、面会交流は子のペースに合わせて行われるべきもので、事情変更がない限り前件審判が変えられないというのは子の発達という面との折り合いをうまくつけていく必要があると考えられます。 申立人の論旨は面会交流を拒否し続けていること、未成年者の意向を事情の変更として主張したと位置づけられます。 しかし、申立人が面会交流を拒否したことをもって相手方との面会交流を拒否すべき事情には該当しない、未成年者の意向については、相手方と未成年者らの関係性の変化は見出しがたいとされました。 当該審判例につき、中期児童について、意向は、要するに年齢的にみて抽象的概念の理解力や自身の考えを俯瞰する力、他者の気持ちをはかる能力について心理的に発達途上にあり、環境次第で変わり得る意向である、と指摘しており、父母間の紛争の影響かにおいて未成年者の面会交流の適否を判断するのは相当性に欠ける、と指摘をしました。そのうえで、前件審判を変更すべき理由はない、とされました。 本件では、一般論で未成年者の意向につき、裁判所が真意を塗り替えることができる抽象的な規範を定立している点で、やや注目に値するものと考えられます。

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